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最新更新日 2017.1.3
アグリネット
中川繁夫:著

 アグリネットblogに連載の文章

野菜工場

 1~4 2013.8.22~2014.7.24

 

-1-

食べることの話のなかで、食料の確保をどうするか。
この話題に及ぶことがままあります。
食料の確保については、様々なレベルでとらえられます。
個人のレベルで、国のレベルで、地球レベルで・・・・。
地球の人口、現在68億人ほどだと聞いています。
それが100億人にまで増えるとの試算があります。
これらの話は、地球規模で考えて、どのように対処するのか。
なによりも食べることは、人が生存するための必須条件です。
何を食べようと、食料となるものなら、それを食べよう。
栄養バランスとか摂取カロリー量とか、これをどうするか。
しかし、このままいくと、地球全体で食料不足になる。
今だって地域によって飢餓状態になっている地域がある。
未来における全ての人間が、食料を得られるようにするためには。
これなんかが、マキシム、世界の大きな課題になるんでしょうね。

この夏(2013年)、ぼくは「野菜工場」という言葉を聞きました。
これが何を指すのかという話から、その講座は始まりました。
人工的に野菜を栽培するということなのですが・・・・。
太陽ではなくて人工光、土ではなくて水、露地ではなくて室内。
種から作るというのではないですが。
「人工光」「水」「室内」の三つがキーワードです。
これは野菜の話ですから農業分野です。
いまや漁業や畜産におても、人間の手が加わっています。
魚の養殖、養鶏、養豚、牛だって、卵だって、牛乳だって。
そうゆうことを、トータルにとらえる視点に気がついた。
食料問題、これは感情レベルで語ることも多々あるけれど、です。
人間の生存というレベルで、生産品としての食糧を考える。
その一つの方法が「野菜工場」という領域のとらえ方です。

-2-

兵庫県宝塚市の逆瀬川というところに、その野菜工場があります
宝塚メディア図書館の地下二階のフロアーに隣接してあります。
マイ野菜市民農園というのがあって、個人が契約で野菜を作っています。
この宝塚メディア図書館が主催して、野菜農園技術講座が開かれたのです。
ここでいう「野菜工場」とは、これまでの野菜生産の方法ではありません。
野菜工場でつくる野菜は、人工光、室内、水耕栽培、という条件を満たします。
だから「野菜工場」は、この条件を人工的に作った場所のことです。
本来、野菜は、山菜とちがって人間によって栽培されてきました。
近年は、太陽光、土がベースのハウス栽培が多くなりした。
ハウスのなかで、温度や光量の管理をして、生産性を高めてきました。
新しい野菜工場は、それらを完全にコントロールする水耕栽培です。
人工的に生産管理ができるから、必要な量を必要なだけ作れます。
野菜工場で作るメリットは、追って記したいと思うけど、多々あります。

私は消費者、都会の片隅に住んでいます。
食べ物を生産していないから、近所のお店へ買い物にいきます。
コープのお店ですが、野菜コーナーがあります。
私はレタスの棚に、パックにされたレタスを見ます。
レタスにはフリルレタスとか、丸まったレタスとかがあります。
水耕栽培と明記されたフリルレタスのパックがありました。
価格は128円とか198円とか。
野菜の値段が、高いのか安いのか、消費者として、関心があります。
消費者としては、良い品物が安く買えるほうがよろしい。
もちろん、どんな状態を良い品物というのか、これを明確にしないと。
追々見ていきますが、コストパフォーマンス、採算があう価格があります。
生産、流通、消費、野菜商品の流れですが、この関係もあります。
農業、野菜生産をめぐってはいま、様々に注目されています。
それを少しずつクローズアップしていきたいと思っています。

-3-

最近は、個人商店で買い物をする、ってことが少なくなりました。
いやはや、ほとんど無い、お店の人の顔が思い浮かぶけど、買ってない。
コンビニで食べるものを買いますが、しいていうなら、対面で買う店です。
新聞の折り込みに、新規オープンする地元スーパーの広告チラシが入っていた。
知ってる場所だから、その周辺に点在する個人商店のたたずまいを思い起こします。
あのおばちゃんどないするやろ?、なんて心配してみたり・・・・。
ぼくの生活圏のスーパー形式の地域展開する店を、巡ってみます。
食料品が、山ほど積まれていて、何を買おうかと迷うよろこび(笑)です。
レジの子はバイト、買うべく商品を籠に入れて並ぶと、清算してくれる。
最近は、買い物カゴから清算済みカゴに、入れ替えてくれます。
そろばんとか電卓とか使いません、レジスターでバーコードを読ませる。
二言三言の会話があって、集計されて、おつりまで出てくるんですね。
ガソリンだって、自分で操作して、セルフで入れます。
会員価格だから2円安くて、nanacoカードでポイントがつく。
食べ物を得るために、その他の生活資材をだって、買うとき、対面しない。
そういう時代、現在という時代に、野菜工場は登場してきています。
なにも突飛なことではなく、ああ、野菜もかぁ、くらいの驚きです。

人間の手によって管理され、作られていく食料、食べるもの、その総体。
その管理のほどが、徹底して人間が管理するシステムが、野菜工場。
野菜工場は、「野菜」という食の素材を人工的に生産するシステムです。
システムの形態は、工業生産された材料を組み合わせて作られる場所。
完全に自然光を遮蔽して、人工光による水耕栽培です。
自然に近い素材は、種、この種だって管理されコントロールされた種です。
究極の、人間の英知が集約されて出来上がってきたのが、野菜工場。
野菜工場で生産される野菜は、将来の野菜生産の中核を占める。
現在は、まだ、消費者の意識の中に、あるとは言えないかもしれない。
スーパーマーケットで手にする野菜の多くは、太陽光を使った野菜ですから。
露地もの、ハウスもの、土を使ったもの、これが現在の主流です。
自然の恵み、これがあたかも最良のようにいわれている野菜の世界です。
でも、太陽のことを自然の恵みとはいっても、農薬とかの問題あるよなぁ。
そういう農薬とかポストハーベストとかの問題をも解決して「野菜工場」です。
いいことばかり並べるつもりはないけれど、かなり良好なんです「野菜工場」。

-4-

日常生活者の眼、つまり消費者の視点で、食べ物のことを考えます。
食べ物を買う、なるべく安くて良い食べ物を手にいれる。
食料を確保するのに消費者は、お金を払って食料品を確保します。
スーパーマーケットへ食料品を買いにいきます。
魚類、肉類、野菜類、果物類・・・・。
主食となる米や小麦を使ったか加工品があります。
飲料水、酒類、乳製品・・・・、あるある、いろいろ。
食べても食べなくても大して変わらない菓子類。
いまやほぼ100%近くを、スーパーマーケットで買います。
野菜はその一角に並べてあって、多くは露地もの、ハウスもの。
でもその一部に、パッケージ化された野菜工場の野菜がある。
売り場の幅は1m強くらい、品種は1~3種類ほどです。
リーフレタスが多いですが、サンチュも置かれてたり。
現状のスーパーマーケット、野菜売り場の実情です。

完全にコントロールして作られる野菜。
野菜が成長するための「光」を、太陽光ではなく人工光でまかなう。
光源は、蛍光灯かLED電球か、現在の主流は蛍光灯のようですが。
植物は光合成のとき、二酸化炭素を吸って酸素を放出するって習った。
この光合成作用を、人工光によって管理して、成長度合いを決める。
細密な研究・実験が行われていて、効率化を求めているようです。
効率化の究極は、野菜が消費者に来る値段、に尽きると思います。
なるべく安く、安くて品質の良い野菜、これの供給です。
野菜工場は、完全にコントロールされて、無農薬栽培です。
野菜が病気をおこす病原菌をシャットアウトした空間です。
光の量、肥料の量、室内温度、これらが管理されて生産される。
食料を供給する装置として、安全・安心に敏感な人間の感情です。
この安全・安心、これは基本的にクリアーされていると思います。
食料確保の将来をにらんだ、具体的な生産方法としての野菜工場。
まだまだこれから、その市場が大きくなるんだろうな、との思いです。

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